遺言執行者の資格
遺言執行者は、未成年者や破産者はなることができませんが、それ以外であれば誰でもなることができます(民法1009条)。
法人も遺言執行者になることができます。
受遺者や相続人が遺言執行者になることもできます。
共同相続人の1人が遺言執行者になった場合、その相続人のみが遺言執行者としての相続財産の管理処分権限を有し、他の相続人は遺言執行を妨げる行為を行うことができなくなります(民法1012条)。
なお、共同相続人の1人を遺言執行者に指定することはできますが、単独相続人を遺言執行者にすることは、適切な遺言執行を期待できないため、認められないと考えられています。
実際には、遺言書作成を弁護士に依頼した場合には弁護士を、信託銀行に依頼した場合には信託銀行を、自身が作成する場合などには受遺者を依頼することが多いといえるでしょう。
遺言執行者を複数選任することもできます(民法1017条)。
この場合、遺言に別段の意思表示がない限り、過半数で任務の執行を決することになりますが、保存行為は各遺言執行者が単独で行うことができます(民法1017条)。
そして、過半数によらないで行われた遺言執行は無効になりますが、後に追認することは可能と考えられています。
執行の決定につき可否同数になった場合には、一方の遺言執行者の辞任や解任を検討するか、家庭裁判所に対し、遺言執行者の追加選任を求めることが考えられます。
遺言執行者は、遺言に記載がない限り、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができません(民法1016条1項)。
ただし、実際には、遺言執行者に相続人が選定された場合で、遺言執行が複雑な場合などに、弁護士などに遺言執行を委ねる例は見受けられます。