特別受益と孫への贈与
(1) 特別受益者となるのは、特別受益を受けた「共同相続人」です。祖父Aが死亡し、共同相続人が長男B,長女Cの場合には、Bの子D(孫)は、Aの共同相続人ではありません。ですから、Aが生前にDに贈与したお金は、特別受益にはならないことになります。
(2) しかし、特にAがDにお金を贈与したのが、Dが幼い子供であった場合などには、Dへの贈与は、間接的には教育資金として、親のBへの贈与であったとも考えられます。このような間接的な受益を、相続人の特別受益とみる判例もあります。
(3) (1)の事例で、BがAより先に死亡しており、DがAの代襲相続人である場合には、更に問題は複雑です。判例では、Dの特別受益を認めるものと認めないものがあり、まだ説が分かれている状況です。
(4) このような状況を踏まえて、孫に贈与する場合には、争いを防ぐためには、できるだけBの子とCの子に平等に贈与しておくことが望ましいでしょう。