共同相続人が相続放棄をした場合
(1) 他の相続人が相続放棄した場合、相続する債務は増えることがあります。
(2) すなわち、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継することとされています(民法899条)。
(3) 債務の相続に関して、可分債務については、共同相続人はその相続分に応じて債務を負うと解されています。
(4) よって、他の相続人が相続放棄をした場合には、相続放棄をしない相続人の相続分は増えることがありますので、その増えた相続分に応じて、債務の承継分も増えるという結果となります。
(5) したがいまして、他の相続人が相続放棄をした場合には、自らも相続放棄をして、債務の支払を免れることとするのか、あるいは、他の相続人とは異なり、相続放棄をしないで相続を単純承認するのかを決するべきです。他の相続人が相続放棄したことによって、プラス財産についての相続分が増えるという効果も生じ得ますので、その利害損失を総合考慮する事が肝心です。