財産管理型の寄与分
財産管理型の寄与分とは、被相続人の財産を管理することによって財産の維持形成に寄与した場合に認められる寄与分をいいます。
相続人の一人が被相続人の賃貸不動産を管理した場合などが典型例です。
財産管理型の寄与分については、以下の点に注意が必要です(片岡武他編『新版家庭裁判所における遺産分割・遺留分の実務』339頁)。
①財産管理の必要性があることが必要です。したがって、管理会社が賃貸不動産を管理している場合に、相続人の一人が不動産を清掃などしたとしても、寄与分は認められません。
②特別の貢献が必要なため、被相続人宅の庭先に生える雑草を季節ごとに刈り取ったという程度では寄与分は認められません。
③無報酬またはこれに近い状態で管理を行う必要があります。
④継続性が必要なため、2、3か月間だけだ財産管理を行ったという程度では、寄与分は認められません。
寄与分額は、第三者に委託した際の報酬額が基準になりますが、専門家ではなく、身内が管理を行うため、一定程度減額されることもあります。
また、一切の事情を考慮して、さらに一定割合を減額することも多いといえます。
相続人の一人が財産管理のために不動産を無償で利用していた場合には、賃料相当額を控除して寄与分額を算出することになります。
なお、相続人の一人が被相続人の資金を運用して利益を得た場合でも、相続人間の衡平の観点から、当該相続人には寄与分は認められないことが多いと思われます。