不在者財産管理人とはなんですか
不在者財産管理人とは、不在者の財産の管理・保存を行うものをいいます。
不在者とは、従来の住所又は居所を去って容易に帰ってくる見込みのない者をいいます(民法25条)。
不在者の財産管理制度は、不在者が従来の住所又は居所に財産を放置し、財産の管理人を置かなかった場合などに、
不在者の残務を整理し、もて本人の利益のみならず同人の相続人・債権者など利害関係人の利益を保護するために設けられた制度です(
東京地判昭和56年10月23日)。
実際に不在者財産管理人が必要とされるのは以下のような場合です。
①遺産分割協議
一部の相続人が不在者であるが、遺産分割協議を成立させたい場合に必要になります。
もっとも多く利用されるのがこのケースであるように思います。
②財産管理
不在者所有の建物が老朽化して取り壊す必要があるが、財産を管理する者がいない場合に必要となります。
③売却
不在者の財産を買収しようとする場合に必要となります(ただし、土地収用等の場合に限られます)。
④時効取得
不在者の財産を時効取得した者がいる場合、時効の援用を行って確定判決を得るために必要となります。
⑤境界確認
隣地所有者が警戒確定を求める場合に必要となります。
⑥債権の回収
不在者の所有する土地に担保権が設定されており、担保権を実行する場合に必要となります。