遺言書の書き方についての10のポイント

遺言書はまず、書くか書かないかで悩むことが多いですが、
いざ遺言書を書こうと思ったとしても、遺言書に書こうと思った内容が死後に実現されなければ意味がありません。
そこで、以下では、意図したとおりの内容を実現する遺言書とするための、遺言書の書き方についての10のポイントを解説します。

1 すべての資産を記載する

遺言を作成する場合、自分のすべての資産についてなるべく詳細に記載しておくことをおすすめします。
たとえば、不動産については登記をとりよせて一筆ごとに記載したり、預金については取引銀行・支店名・口座の種類などを記載しておきます。
これは、後日相続人に対して、相続財産がなにかがすぐわかるようにするためです。
「すべての財産を長男に相続させる」などの記載だけですと、相続が起きた際、残された相続人は相続財産の調査に苦労することになります。
相続人の負担を軽減する点からも、遺言にはなるべく自分のすべての資産を詳細に記載しておくことをおすすめします。

2 公正証書遺言で作成する

遺言の作成方法として、利用されている頻度が高いものとして、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
自筆証書遺言は、遺言者が自筆して作成する方法であり、公正証書遺言は本人と公証人とで作成する方法です。
自筆証書遺言の場合、紛失のリスクや、後日発見されないリスクがある他、後に自筆かどうかで相続人間でトラブルになるケースもありますので(自筆証書遺言の場合、自筆であることが要件ですので、実印を付したとしても十分ではないことがあります。たとえば、夫に頼まれて妻が代筆して実印を付した場合でも、自筆証書遺言としては無効になります。)、費用や時間はかかりますが、可能であれば公正証書遺言による遺言書をおすすめします。
公正証書遺言の場合、公証役場で正本が保管される他、偽造であることの争いが生じることはありません。

3 遺留分を侵害していないか確認する

遺言が相続人の遺留分を侵害していた場合、後日遺留分減殺請求がなされ、相続人間でトラブルが生じる可能性があります。
そこで、まずは遺留分を侵害しないように相続財産の分配方法を考えて遺言を作成することが考えられます。
ただ、遺留分を侵害してもどうしても特定の相続人に相続財産を相続させたくないということもあると思います。
このような場合には、なるべくトラブルを軽減するために、遺言に詳細な経緯を書いたり、遺言執行者を指定しておくことが考えられます。
ただ、トラブルが生じる可能性がゼロではありませんので、遺留分を侵害する遺言を作成する際には、弁護士等に相談して作成することをおすすめします。

4 相続しやすいように分配する

たとえば、相続財産に不動産が複数あるケースで、遺言に「相続財産のうち半分を長男に、4分の1ずつを次男三男に相続させる」などの記載をすると、
後日、相続人間で誰がどの不動産を取得するかでトラブルが生じる可能性があります。
また、相続財産に不動産と預金があるケースで、遺言に、「不動産すべてを長男に、預金すべてを次男に相続させる」などの記載をすると、
後日、不動産の相続を受けた長男は、相続税を支払えず、不動産を手放さざるを得なくなる、などの可能性もあります。
このように、相続財産の分け方によっては、トラブルが生じたり、希望どおりの相続がなされないケースもありますので、
遺言における相続財産の分配は、相続人にとって相続しやすいように記載する必要があります。

5 高齢や入院中のときは気をつける

遺言は、作成時に遺言能力がない場合には無効になります。
遺言能力とは、自己の行為を弁識する能力のことをいいます。
遺言作成時に高齢や入院中の場合には、後に遺言能力をめぐってトラブルになるケースも多いため、注意が必要です。
このような場合の対応策としては、公正証書遺言を作成する、遺言作成時の状態について医師の診断を得ておく、遺言作成時の状況を記録しておく、などが考えられます(ただし、このような対応をとっても無効と判断される場合もあります。)。

6 遺言書を書いた経緯を記載する

遺言書には財産の処分方法などを記載するだけでも、もちろん有効です。
ただし、法定相続分とは異なった配分をする場合には、なぜそのような配分をするかを記載しておいたほうが、
配分の少ない相続人においても、「本人がそう思っていたのだから仕方ない」と納得を得やすいことが多いです。
また、遺言能力の有無の判定には、遺言書を書いた経緯が合理的かどうかもひとつの考慮要素になりますが、この点からも、経緯を書くことは有効性を高める一つの材料になります。

7 その余の一切の財産の処分先も決めておく

遺言に各相続財産の処分先を記載しても、書洩らすこともあります。
また、遺言を書いたのちにも、相続財産が変更したり、増加する可能性があります。
これらの相続財産についても気づいたり、変更されたり、増加する都度、遺言を変更することも可能ですが、煩雑でもあります。
そこで、このような場合に備えて、遺言作成当時の相続財産以外の「その余の一切の財産」についても、あらかじめ、処分先を記載しておくことをおすすめします。
これにより、上記のような書洩らし、財産の変更や増加の場合にも対応することが可能になります。

8 遺言執行者を指定する

遺言を記載しても、相続人間で争いがある場合などは、遺言内容が適切に実現されない可能性があります。
そこで、このような場合でも遺言を執行できる遺言執行者を遺言において記載しておくことをおすすめします。
特に、預金の払い戻しについて、金融機関によっては、全相続人の同意が要求されたり、不動産を換価して売却代金を相続人間で分配するなどという場合には、
遺言執行者を指定しておくメリットが高いと思われます。

9 相続させると遺贈は違う

相続人に渡したい財産について、「相続させる」と書くか「遺贈する」と書くかによって、法律的な効果が異なる場合があります。
特に、不動産を特定の相続人に渡したい場合、「遺贈する」と記載すると、移転登記を行うのに相続人全員の同意が必要になりますが、
「相続させる」と記載すると、取得した相続人が単独で移転登記をすることができるという違いがあります。
その他もいくつかの点で法律的な効果が異なりますので、「相続させる」と書くか、「遺贈する」と書くかは注意が必要です。

10 相続させる相続人が先に死亡することも想定しておく

遺言を記載しても、遺言者が死亡する前に、相続させる相続人が先に死亡することもありえます。
この場合、遺言書になにも記載しない場合、遺言の当該記載部分は無効と判断され、遺言者の希望通りに遺言が実現されない可能性がありえます。
そこで、たとえば、相続させる相続人が子だとして、子が先に死亡していた場合には、孫に相続させたいという場合には、遺言にその旨記載しておく必要があります。

                                                           弁護士 篠田 大地

 

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